宇田川彩『それでもなおユダヤ人であること』(2020.9)、田中理恵子『生きている音楽』(2021.8)の刊行 - 2021.11.3
昨年から今年にかけて、博士課程における指導学生であった宇田川彩さんと田中理恵子さんの、博士論文に基づく単著書が刊行されました。
宇田川彩さんの『それでもなおユダヤ人であることーブエノスアイレスに生きる〈記憶の民〉』は世界思想社より2020年9月に刊行されたものです。これは、アルゼンチンのブエノスアイレスにおいて、ユダヤ的伝統を背負って生きる人たちのもとで行った長期フィールドワークに基づくものです。(イスラエルの外に住む)「ユダヤ人」が、どんな日常生活を送り、どんな自己意識や悩みを持って生きているかを掘り下げた著作はほとんどありません(土台となった博士論文についての紹介はこちら)。人類学のみならず、世界各地に住む世俗的ユダヤ人に関心のある人、またアルゼンチンのある人にぜひ読んでいただきたい著作です。
田中理恵子さんの『生きている音楽ーキューバ芸術音楽の民族誌』は、水声社より2021年8月に刊行されたもので、キューバのハバナに住むいわゆるクラシック音楽の作曲家や演奏家を中心に行った長期フィールドワークに基づく著作です(土台となった博士論文についての紹介はこちら)。キューバはそのポピュラー音楽が世界に影響を与えてきた音楽大国ですが、そうした豊かな音楽的環境の中で、そして近年の困難な社会状況のなかで、生き生きと芸術音楽を創造している人々に焦点を当てた、独創的な民族誌的著作です。音楽、さらには芸術一般に関心のある読者に強く訴える内容だと思います。